こんばんは。ゆめです。
皆さんは妄想好きですか?私は、よく勝手に物思いにふけっては、一人の世界に潜り込みます。
そんな私が、この瞬間に思いついた妄想ストーリーを、小説という形に書き起こしてみようと思います。
即興のとても短い内容ですので、もし良かったら暇つぶしにでもご覧下さい。
注意:どちらかというと、暗い内容です。明るい物語が好きな方は、あなたの貴重な時間を無駄にしてしまうので、そっと画面を閉じて下さい。
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「ただいま。」
明かりもついていない、誰も待っていない、真っ暗な玄関に向かって呟く。
手探りでなんとかスイッチをつけると、雑然とした散らかった部屋が照らし出される。
「はぁ〜。今日も疲れたな…。」
ため息の数だけ幸せが逃げる。
誰かがそんなことを言っていたけれど、それが事実ならば、もうどれだけの幸せを僕は失ったのだろう。
おもむろにテーブルの上に、スーパーのビニール袋を投げ出した。
ガサガサ、ゴトッ。
不穏な音と共に、今日の戦利品のパックが横倒しになってしまった。
「あー!せっかく半額で買ってきた刺身が…まあいっか。」
おもむろにパックの方向を直してから、洗面台に向かう。
くたびれて正気のない顔。
目の下のクマが連日の寝不足を物語っていて、一層不健康さを際立たせていた。
鏡なんて見るんじゃなかった。
のろのろと手を洗い、うがいをしてから、乱暴に手を拭う。
リビングで、見るともなくなんとなく、テレビのスイッチを入れた。
最近流行りだした、若手のお笑い芸人が、面白おかしく笑いをとっているバラエティー。
今の気分じゃないけど、かといって、最近のテレビ番組なんて知らないしな。
気晴らしのBGMになればいっかと、テレビのリモコンを力なく机に置いた。
改めて、蛍光灯の下で見る半額の刺身は、今の僕と同様にどんよりと濁った色をしている。
お世辞にも新鮮だとは言い難いけど、僕の安月給だと贅沢は言えない。
夜10時を回るこの時間から、米を炊く気にはなれず、レトルトパックをレンジに放り込んだ。
「こんなはずじゃなかったのにな…。」 ある程度の年齢になれば、当たり前に結婚して、子供もいて。
不自由さに愚痴りつつも、家族と温かい食卓を囲めるものだと信じて疑わなかった。
それが今やどうだろう。
職場と家の往復だけの毎日。時間もお金もない。
ただ生きるためだけに稼いで、眠るためだけに家に帰る。
そこには、なんの楽しみも希望もない。描いた夢だって、ただの妄想になってしまった。
そう言えば、高校の同級生の健司、結婚するって教えてくれたよな。
式にも誘われたんだった。もうそんな年齢なんだもんな…。
レトルトのご飯も温まったようだ。
刺身のパックのシールを剥がす。これが今日の僕の精一杯。
「いただきます。」
呟きながら、タイの刺身にはしを伸ばす。
途端に、肝心なことを忘れていたことに気づく。 「醤油とわさび。危ない危ない。」
小皿を物色しようと、ふらりと立ち上がった時に、スマートフォンの光が点滅し始めた。
こんな時間に電話かけてくるやつなんて、誰だろう?
視線を着信画面に移すと、意外な人物の名前が表示されている。
「なんであいつが?よっぽど何かがあったに違いない。」 僕は躊躇なく、着信に応答することにした。
今日は、以上です。いかがでしたでしょうか? 少しでも、この哀愁漂う世界観に感情移入して頂けたなら、幸いです。
それでは、皆さん。良き週末が過ごせますように。おやすみなさい!